ご覧頂きましてありがとうございます。 こちらの品は江戸時代に製造された染付蛸唐草火入れと灰入れでございます。 　この文様は長寿や繁栄の象徴とされており、古くから縁起の良い柄として親しまれてきました。手描きならではの揺らぎやリズムがありながらも整然とした印象を与え、見ているだけで職人の高度な技術と美意識が伝わってきます。 　染付の藍色もまた、この器の魅力を際立たせています。江戸時代の染付ならではの深みのある青は、時間の経過とともに柔らかさを増し、当時の空気をそのまま封じ込めたかのような風合いを感じさせます。火入れと灰入れという用途も、単に道具としての実用性にとどまらず、茶の湯の世界においては重要な意味を持ち、炭手前における所作を美しく支える存在です。 　形状にも注目すると、柔らかく丸みを帯びたフォルムに、底部を引き締めるような幾何学的な縦縞模様が施されており、静かな佇まいの中にも緊張感が漂います。この造形と文様のバランスが、見る者に深い満足感を与えるのです。 　また、こうした器は使うほどに味わいを増し、飾っておくだけでも空間に凛とした雰囲気をもたらします。実用品であると同時に、ひとつの美術品としても成立する存在感があり、江戸の粋を今に伝える貴重な文化財といえるでしょう。眺めて楽しみ、使って味わう。まさに日本の美意識が息づいた器です。 ★寸法★ 灰入れ　直径7.2㎝ 　　　　高さ（取手含む）10.1㎝ 火入れ　直径11㎝ 　　　　高さ7.5㎝ 陶磁器の町、佐賀県伊万里市在住で古物商（第911100009525）を営んでおります「陶磁器ヨーソロー」と申します。 古伊万里、現代作家もの、個人で製作活動しているレアな窯元、有田焼伊万里焼の陶磁器を中心に出品しております。 未使用品に関しては陶磁器商社、骨董に関しては古物競りやコレクター依頼品でございますので、ご安心くださいませ。